美容医療の受診前に、知っておくべき大事なこと (長文)
<はじめに>
近年、各種アプリやwebアプリケーションなどの台頭により、美容医療を受ける敷居が低くなってきました。
実際、美容医療を受けた人々が自身の容貌を公開するようになり、自宅で、友達とカフェなどで、美容医療の疑似体験ができるようになりました。
患者側からすれば、SNSを介して施術を受ける前の準備がしやすくなり、手術をする身にとっても、術前の段取りとして、好ましい傾向と考えています。
というのも、美容医療を受けに来る患者さんは、どちらかというとお客さんに近く、医師サイドからいうと治療を受けるというより、買い物をするという感覚ともいえ、実は、長年病院で勤めていた我々医師をとても惑わす原因になってきたのです。
医師側にも顧客をもてなすという世間一般の常識を身につけなければならないという責任が十分にあります。
病院に普段から通うようなこともない限り、医療サービスを受けるとはどういうことか、肌身で実感することはないはずです。
普通の買い物をする感覚でいたら大間違い。
しかし、綺麗になるということと、変身するのとは、意味が違います。手術を受けて切り取ってしまったものはもう元に戻せません。
後悔しないためにも、しっかりと対策をして治療に望みましょう。
でもどうやって知識を身につけたらいいのでしょうか。
このサイトでは、賢く美容医療を受けるコツを、現役の美容外科医がお伝えしていきます。
例えば、受けたい施術がどれだけ綺麗にしてくれるのか。どういう手術が危険なのか、理解しておくことは、とても大切です。
また、周りの人と同じ手術を受けたら自分も綺麗になるのか。疑問に思ったこともあるはずです。
具体的な話は、診察で行うのが最も効果的です。しかし、お互いに時間を節約する為に、先に目を通しておいて欲しいことを載せます。
サイト運営の動機
10数年前、まだ当時は日本で美容医療を受けるのはまだアンダーグラウンドのような風潮も漂っていた時代でした。私は、アメリカ医学に憧れを持ち、当時最も人気のあった形成外科、美容外科を志して医師になりました。
国内の総合病院で、熱傷や顔面骨骨折など一般的な形成外科の診療と同時に、二重の手術など美容外科の診療に従事し、念願の美容クリニックに研鑽のため転勤しましたが、そこで目にしたのは、違法行為を行うのがまかり通っていたという事実でした。
勤務する前に違法クリニックだったとは気づかず、いざ勤務をしてみるととんでもない素人が患者さんを接客し、あろうことか、患者さんも、その接客に載ってしまっていました。
そこで気づかされたのは、なんとなく医療機関というだけで信頼があり、さらに、大手だからということで、疑いなく大枚をはたいても治療を受ける患者さんがいるということです。
私の祖父は厚生労働省(当時労働局)の職員であり、父も公務員という家で育ったためか、母の教育か、私自身、正義感が強く、友人に相談に止められはしましたが、厚生労働省に連絡し、指示の通り警察へ通報し、違法クリニックを退職しました。周囲では前例のないこととして評価されましたが、結果として、とても良かったと考えています。
手柄を立てたいのかという批判もあるかもしれませんが、真っ向から申し上げますと、裏事情を明るみにしても、私は何も面白くありません。出来れば、そのようなクリニックが一つでも減り、透明性のある美容医療が行えればどれだけ素晴らしいだろうという気持ちだけで動いたのです。
世の中には学会発表や新しい手術方法を考案しては、美容医療を前に推し進めようと頑張っている先生達が、沢山いることを忘れて欲しくはありません。
また、診療をより効率よく回したいという意図もあります。いざ、診察の場になってみると緊張してあまり説明が頭に入らなかったりすることもよく目にします。その場合は、「一度家で考えてきたらどうでしょうか。」とお話することが稀ではありませんでした。
以上から、診察に来られる前にインターネットを通して、アメリカや日本で広く行われている美容医療の実態や、自分の手術方法や治療の考え方を載せておこうと思ったわけです。
尚、文章制作にあたって、AIやコピーライターなどの補助を使わず、私自身の言葉で綴っていることを約束します。
News
- 美容医療は、現状、軟部組織治療にとどまる。生まれつき、顔面に亀裂が入ってしまうような病気で生まれてしまう人がいます。(顔面裂) 生まれつき、顎に亀裂が入ってしまう人もいます。(口蓋裂) 顔面裂も、口蓋裂も、修復するのは、皮膚と皮下組織にとどまり、骨を修復しないことが大抵です。 それらの異常な骨格を修復すること(硬性再建)は極めて難しいのです。たとえ骨を触っても、悲惨な結果が待っていると予測可能だからです。 病気で生まれてしまった人にする治療で硬性再建はリスクをとれないわけですから、 まして、健康な人に骨を切って治療をするということがどれだけ危険なことかご理解頂けるかと思います。 たしかに、手をだして構わない場所も増えてきました。 下顎骨の治療の進歩はめざましいものがあります。 非対称な下顎骨を延長させるイリザロフ法。 受け口を治す、下顎枝矢状分割法(SSRO)、オトガイ形成術など。 しかし、顔貌というのは、 顔面 + 頭蓋 です。 かお + あたま と言ってもいいでしょう。 もう少し詳しく言いますと、 顔貌というのは、 顔面骨 と 頭蓋骨 この両者を土台にして成り立っています。 土台を直して、杭を整えて、屋根があるとします。屋根を我々が見ているとしたら、土台が変わるとどれだけ屋根の形状が変わるかご理解頂けるかと思います。 尚、杭は皮下組織と言いまして、皮膚と骨の間にある物です。屋根にあたる皮膚とまとめて、軟部組織ともいいます。 「基本的に、顔貌の骨を『全部美しい形に整えるのは不可能』と思ってもらって構いません。」 一部の顔面骨は治療可能です。先ほど申し上げたような下顎骨が良い例です。 他にも、頭蓋骨を短冊状に切って、頭蓋骨の形状を整える方法も世にはあります。 今まで、数々の臨床家が修正を試みようとしてきました。 しかし、硬性再建は困難を極めます。 なぜ、修復不能なのか。 それは、「顔貌を形作る骨格を美しく改築しようすると生命維持に必要な機能を失いうるから」です。 もしくは、ビルのとあるフロアの床だけ高くしたらどういう形状になるか想像してください。 ですから、どれだけ美しくできるか、どこなら治療可能か、よく検討して美容外科に行きましょう。 「ちょっと綺麗になったらいい。」 自己ベストを目指すならお手伝いが可能です。 尚、少しだけ触れますが、韓国で美容医療を受ければ日本人も美しくなると思うのは、十分に慎重になりましょう。鼻根、こめかみから上方の骨格に大きな違いがあります。これについては、別項で記載したいと思います。
- 美容医療の患者に向いている人①美容医療を受けるにあたって、実は向き、不向きがあります。 普段、診察に来院されている方にそんなお話はすることはありませんので、ここで少しでもお伝えできたらと思います。
- 絶対に治療できないところ①顔をかえたくても、現代医療ではできない施術があります。 それは、眉間です。